2019/10/25 10:39
難しいことは「分かってる」
分かっているから「遊ぶ」んだ
沖縄からこんにちは。
店長のやまうちです。
53年前、
みなさんは何をしていましたか?
僕は、生まれてません。
さて、今日は
ある男の「53年間の記録」です。
男の名前はリー・フリードランダー。
1934年ワシントン州生まれ。
ウォーカー・エバンスやロバート・フランク以降の
新しい写真の流れを作った写真家のひとりであり、
また、
20世紀後半を代表する写真家のひとりでもあります。
とか言うと
なんだか敷居が高く感じられますが、プロブレムはNo。
リー・フリードランダーの作品は
とにかく「分かりやすい」
楽しい。
おもしろい。
見たまんま。
この「とっつきやすさ」が
リー・フリードランダーの最大の魅力だと思います。
Rolling Stonesを聴くと、自然に足がリズムを刻みませんか?
それと同じ。理屈なんか、要らないんです。
そう。
Rolling Stonesを聴いて「難しい」と感じる人って
あんまりいないと思います。
それは彼らが、
音楽を、機材やテクニックを、自分の血肉になるまで消化し切っているから。
リー・フリードランダーにも
同じようなスピリットを感じるのです。
むずかしいことを分かりやすく。
分かりやすいことをおもしろく。
おもしろいことを深く。
ブルーハーツのマーシーの言葉としても有名ですが
井上ひさしや永六輔も同じようなことを言っています。
多くの偉人や偉大なバンドたちは
その「分かりやすさ」ゆえに、結果、多くの支持を集めたのでしょう。
そして
Rolling Stonesも、リー・フリードランダーも。
そんなフリードランダーの
1958年から2011年までのセルフポートレートを集めたのが本書。
自分を撮り続けること圧巻の53年間。
厚さにして4cm以上の「自分」の記録。
「人生とは旅である」、なんて言葉がありますが
「まさに」という感じの人生絵巻です。
しかし、そこはリー・フリードランダー。
いくつになっても、いくつであっても、
永遠のいたずら小僧のような、無邪気な茶目っ気が最高です。
鏡に映った自分
物陰から覗く自分
影で存在を匂わせる自分
若いときの自分
付き合ったばかりの自分
結婚した自分
家族の中の自分
あの時の自分
あの場所の自分
これまでの自分
これからの自分
色んな自分
全部自分
思うんですけど、これって
めちゃくちゃ贅沢な「遊び」ですよね。
ん?
ああ、そうか。
そういうことか。
Rolling Stonesもリー・フリードランダーも
「難しい」を超越した次元で「遊んでる」んですね。
「分かりやすい」の上に「難しい」があるのではなく、
「難しい」よりも難しいのが「分かりやすい」なんだ。
彼らは全部「分かってる」
分かっているから「遊んでる」
だから「深い」んだ。
「分かりやすい」って、難しい。
Lee Friedlander / In the Picture: Self-Portraits 1958-2011 / 5500円
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