2019/10/11 12:55
「とんでもなく普通」の風景から滲み出る
深いコクと奥行きのある味わいはまるでブルース
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/a7be318528f00aba84f739e176a1d7f7.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
沖縄からこんにちは。
店長のやまうちです。
ウィリアム・エグルストン。
カラー写真のパイオニアとしてあまりにも有名ですね。
1976年、当時ほとんど無名だったにも関わらず、
MoMAにて「史上初の」「カラー写真による展覧会」を開催。
「白黒写真こそ芸術」という古くも強い固定観念があった時代に
「カラー写真」は様々な論争を巻き起こします。
が、しかし、
その後「カラー写真」は
「ニューカラー」という大きなムーブメントを引き起こしていきます。
おそらく、ですが
徐々に徐々に、若者たちの支持を集めていったんじゃないかなー、と思います。
なんだかロックが市民権を得ていく過程と似ていますね。
その「ニューカラー」のきっかけともなったのが
同じく76年に出版された本書「William Eggleston's Guide」
まさに
写真界に「狼煙を上げた一冊」と言ってもいいでしょう。
そんな、ある意味パンキッシュなエグルストンですが
作品はいたって穏やかにして慈しみにあふれています。
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![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/5a6ef1daacff542ec2878891ccc0df01.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/85a1b1d2924995d643be55a55ecfe198.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
ウィリアム・エグルストンは
アメリカの南部、テネシー州メンフィスで生まれます。
アンリ・カルティエ・ブレッソンの「決定的瞬間」に感銘を受け
写真家を志したのは有名なエピソードですが
エグルストンの作風はブレッソンとはまったく異なり、
「決定的瞬間」どころか「とんでもなく普通」です。
ですが
この「いたって普通」の「なんでもない日常」の風景から
なんとも言えない哀愁のようなものが漂ってくるから不思議です。
あたかもブルースが
単調なリズムやシンプルなコード進行に
濃密な感情表現を込めているのと似ている気がします。
これが「南部の血」なのでしょうか。
「深いコク」というか、独特の奥行きが感じられます。
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/c6f43e9c362b05e5d52228d2441b55c2.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/25574252d5582a81f0317b02d739303a.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
メンフィス、アラバマ、ミシシッピ…
典型的な南部の風景。もう「まぎれもなくアメリカ」です。
エグルストンは自分の生まれ育った南部の日常を
不思議なほど一定のトーンで、また、ちょっぴり絵画的に切り取っています。
そこにはまるで、空気までまるごと真空パックしたかのような
不思議なリアリティがあります。
それにしても
この「妙に懐かしくて」
「いつか見たことがある」感覚はなんなのでしょう?
行ったことも見たこともないのに。
この不思議な感情はなんなのでしょう?
やたらと「不思議」を繰り返してしましましたが
見れば見るほど「不思議」なんだから仕方ありません。
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![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/68e99809aff463d9f26e3144e605a6e3.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/dd32af286d393ad303080866d97b2f45.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
結局、ウィリアム・エグルストンが写しているのは
「人生の記憶」なのかな、って思います。
エグルストンの写真は
よく「消えゆくアメリカの原風景」と表現されます。
でも、原風景って
どの世代にも、どこの国にも、また、誰にでもあるものですよね。
「消えゆく原風景」とは
「消えゆく人生の記憶」なのかなと思います。
彼の写真に不思議な普遍性があるのは
見る人それぞれに「人生の原風景」を想起させるからなのではないでしょうか。
「とんでもなく普通」で「なんでもなかった日常」
「消えゆく自分の原風景」
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/2ad42ccffcf822a3a01bfdcc60e17577.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/8db2ab42d58f9c4228c784379ac8b1ed.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
あーあ。
なんだか濃いコーヒーと
濃いブルースが聴きたい気分だなぁ。
![](https://baseec-img-mng.akamaized.net/images/user/blog/104571/blog/daa8cecc1fe6b119b081d62d1946d7f4.jpg?imformat=generic&q=90&im=Resize,width=2048,type=downsize)
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